ゴンズイの消化管にいた寄生虫
題名から見てわかるように、今回はゴンズイに寄生虫がいるのか見つけていくという記事です。まずは、ゴンズイが属しているナマズ目から見ていきましょう。
ナマズ目
ナマズ目に属すおおよそ2400種の魚類のほとんどは淡水産で、日本は少ない。ハマギギ科とゴンズイ科のみ海産種を含む。
一般的な特徴
- 体はぬめぬめしており無鱗である
- 脂鰭(あぶらぶれ)がある
- 背鰭と胸鰭の前縁に回転するように動かせる棘を持つ
- 背鰭棘の基部に痕跡的に小さな1棘があり、これで長い棘をロックする
- 下向きの口の周りには4本以上の長いひげを持ち、索餌の際役立てている←そのため目は小さい
- コイ目と共通の内部構造上の特徴として、鰾(うきぶくろ)と内耳が3つの骨片で連結されたウェーベル氏器官が発達している←これで外圧の変化や高周波の振動を感知しているらしい
ゴンズイ科
脂鰭はない。胸鰭と背鰭前縁に逆鈎(あぐ)←かえしのついた毒棘がある。肛門のすぐ後ろにやわらかい房状突起物があり、塩類を排出する。
ゴンズイ Plotosus linetus
背鰭と胸鰭の棘に猛毒あり、その毒は死んでからも効力が持続する上に、この魚は各鰭を直立させて死ぬ場合が多いので釣り場に放置するのは禁物である。
沖縄産は30cm。奄美諸島以北産は20cm。本州中部、富山湾以南、紅海~西部太平洋に分布。
形態
頭は円く縦扁(じゅうへん)し、体は細長くてオタマジャクシ型。口の周りには8本の長いひげがある。
生活
産卵期は6~7月で、浅い円形の産卵床を作る。大きさのそろった濃密な大群を作る。成魚は昼間ゴロタ石の下に潜み、専ら夜間に活動するが、若魚は昼間でも砂底を移動しながら餌をあさっている。幼魚はダイバーの体をつつくことがあり、ミギマキに群がるところから撮影されたことから、本種も掃除屋の仲間に入れられる。鰭棘(ききょく)に刺さると体質によっては死に至ることもある。意外と美味。
今回はフロート付近をガサガサしてみました。
スジエビはめちゃくちゃ入る。
ハゼやスジエビの大きいのとかキープしていましたが、
こんな感じで卵持ちだったのでリリースしました。帰ろうとしていると、黒い風船が海水を横切っていました。ゴンズイ玉です。網をそっと下から入れてやると全く逃げる気配すらなく網の中に吸い込まれていきました。ゴンズイ玉まるごと入っちゃったわけですが、その中から1匹だけ取り除き寄生虫がいるのかどうか調べました。その際に背鰭と胸鰭にタンパク毒があるので、手袋を装着して解剖しました。
ひとまず、武器を剥いでいきます。
刀を持っていない武士。
鰭と
エラには、寄生虫はいなかったように思われました。
次に消化管を2枚のガラスで圧平して実体顕微鏡で観察していきました。
セット完了。
すると、なにやらウニョウニョと動いているものが。
解剖はさみとピンセットを使って切り裂いてみると、中からめちゃくちゃ出てきた。
ということで、集めていきました。
肉眼でも見えます。追記:どうやら鉤頭虫でした。
膵臓胆嚢の箇所にいました。形から見ると明らかにさっきのウニョウニョ寄生虫とは種類が異なります。
70%エタノールで保管しておきました。
ゴンズイが中間宿主なのか終宿主なのか…どうやって調べていこうかなぁ…